一眼レフカメラ 明るいレンズで背景をぼかす方法

一眼レフカメラの使い方に関する質問をツイッターで募集し、スポーツカメラマンの兼子愼一郎さんに話を聞きました。

構成=大西 徹

――「屋外と屋内で場所が変わると、適正な設定をすぐに見つけられなくてバタバタしてしまいます」というお悩みが届いています。

「屋外だと天候や太陽の向きによって設定を変える必要が出てきます。でも、屋内だと天候は関係ないですし、場所による違いもほぼなくて安定しているので、うまく撮れたときの設定を覚えておくように心掛けましょう」

――屋内ではどのような設定を試すといいでしょうか?

「試合前に選手がウォーミングアップをしているときに、ホワイトバランスを『AWB(オートホワイトバランス)』から変えてみてはいかがでしょうか。練習中も試合中も会場の照明は極端には変わらないと思います。あとは色温度を変えてみてもいいでしょうね。例えば、太陽光は5200K(ケルビン)だけど、蛍光灯だと3600Kになります。最初は5200Kで撮ってみて、500Kずつ下げたりちょっと上げ直したりして調整してみます」

――調整した後はモニターで確認するということですね。

「そうですね。屋内だとオートではハマらないことのほうが多いので、ホワイトバランスや色温度を変えて撮影して、モニターで確認してからもう一度撮影してみます。家に帰ってパソコンで確かめるとき、メモしておいたデータも見れば、また次に生かせます。あとは、屋内だとフリッカーという色味が変わる現象がよく起きるので、フリッカーレスという機能がカメラに付いてればオンにしたほうがいいですね。もしその機能がなければ、1枚だけではなくて連写してたくさん撮っておくと、その中にちょうどいい色味の写真が撮れていると思います」

――続いて、「シャッタースピードを設定してもピントが合わないときが多いです。もっと高性能な機材にしたら解決はするのかなとも思うのですが、その前に何か工夫できることがあれば教えてください」というご質問です。

「今の機材を使って設定以外で解決するということは、やはり撮り方になりますね。動きを予測して待ち構えて撮ることを心掛ければ、ピントの精度は間違いなく上がります。あと、昔はみんなフィルムを使っていたから1枚1枚大事に撮っていました。でも、デジタルは何枚撮っても気にならないし、すべてピントが合うとは限らないから、先ほどの回答と重なりますが、連写でたくさん撮ることが大事です。その中にいい表情をしている写真が一つでも多く撮れているといいですね。動きを予測して撮ること、多めにシャッターを切ること、この2つを心掛けてみてはいかがでしょうか」

――続いて、「おすすめレンズ、鮮明に撮る方法を教えてください」というご質問をいただきました。

「おすすめレンズを知りたいということは買い替えを考えているのでしょうか。現在のレンズが『SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary』ということなので、もう少し明るいレンズが良さそうです」

――Fの数字が小さいレンズということですか?

「そうですね。例えば、フットサルの試合で選手の顔をアップで撮る必要がないのであれば、レンズは『70-200mm』で事足ります。アリーナはスタジアムよりもだいぶ近いところから撮れますよね。客席から撮るならズームレンズではなくて『200mm』の単焦点レンズもおすすめです。ズームレンズはどうしてもF値が大きくなって暗くなるんですよね。『70-200mm F2.8』のズームレンズは20〜30万円台だけど、『200mm F2.8』の単焦点レンズを中古で探すともっと安く手に入ります」

――F値が小さいレンズにすることのメリットは?

「感度を上げる必要がなくなります。つまりザラザラした感じの写真にはならないということですね。例えば、『SHONAN DAYS』に掲載したウェリントン選手の写真は後ろがボケていて選手が際立って見えますよね。絞りを開ければ開けるほど背景がボケるので、より浮き上がった感じになります。被写体と背景の距離があればあるほどいいボケ味になるので、そういう意味でも明るいレンズがおすすめです」

――そうなんですね。

「あとは『150-600mm』のレンズを使うときに、もし客席の上のほうに行けるようだったら、なるべく背景がごちゃごちゃしない構図にすると、きれいに撮れるかもしれないですね。下のほうの席だとしても、どうすればすっきりした背景にして選手を撮れるか、構図を考えてみてはいかがでしょうか」■