一眼レフカメラの使い方に関する質問をツイッターで募集し、スポーツカメラマンの兼子愼一郎さんに話を聞きました。
構成=大西 徹
――一眼レフカメラでブレないように写真を撮るための構え方を教えてください。
「レンズを持つときに左手だけで安定するように支えて、右手はあまり力を入れずにそっとシャッターを押すだけにすると、手ブレはしなくなります」
――そうなんですね。いつも右手に力が入っていました。
「シャッターを押す右手は添えるぐらいで大丈夫です。僕が構え方でよく言われたのは、ファインダーをおでこに当てると、左手だけではなく、もう一つ支点ができるということ。脇が締まっているともっと安定します。最近はファインダーを覗かずにモニターを見て撮る方もいるかもしれないですね」
――自分のカメラだとファインダーがまぶたの上に当たります。
「安定していればそれで大丈夫です。モニターに顔の脂がついて嫌かもしれないけど、いろんなところにカメラを付けて支点ができたほうが安定します」
――鼻も当たりますね。
「そうそう。人によって顔の形は微妙に違うし、それは人それぞれ。あとは座っているときに足を組むと、その上に肘を乗せることができて安定します」
――ピントが合わない根本的な原因は、体や手元が不安定だからじゃないかと感じています。
「それはあるかもしれないですね。僕が使っているカメラだとピンポイントで合わせるから、ちょっとしたずれで被写体から外れてしまいます。特に遠くのほうにいる被写体は小さいから外れやすいですね」
――そうなんですね。
「例えば、僕は逆サイドのシュートシーンをほぼ撮らなくて、せいぜいゴールが決まった後に遠くで喜んでいる選手を抑えておくぐらい。ある試合で逆サイドのゴールシーンを2回も撮ることができて、我ながら今日は勘がいいなと思ったんです。でも、急に撮ったせいでピントが選手の後ろのほうに抜けていました。手元がブレていると的に命中しにくいから、まずは手ブレをしないように気をつけないといけないですね」
――客席でも一脚を使えるといいですね。
「スタジアムによっては制限があると思います。僕らが使っているような太くて重い一脚じゃなくて、コンパクトで軽いものがおすすめです。レンズが重すぎると手は疲れるし、バランスも悪くなります。ブレを防いで的を射抜くために、しっかり構えて一脚を使うことは大事だと思います」
――ちなみに、一脚を付けたときに構え方は変えていますか?
「それも人によりますね。左手は一脚、右手はボディというカメラマンもいるけど、僕はレンズを左手で持って、ボディに右手を添えて、なるべく膝のあたりに一脚を付けていますね。傾向としては若い方ほど左手で一脚を持っています」
――それはなぜですか?
「年配の方にはマニュアルでピントを合わせていた癖が残っているのかもしれないですね。僕が左手で一脚を持たないのは、レンズにボタンがあるから」
――何のボタンですか?
「AF(オートフォーカス)はシャッター半押しじゃなくて、左手の親指でレンズにあるボタンを押す設定にしています。右手はシャッター以外にもいろんなボタンを押さないといけなくて、試合中によく使うのはAFのポイントを切り替えるボタンとか、日陰にいる選手を撮るための設定に切り替えるボタンですね」
――そうなんですね。まずはしっかり構えて体や手元が動かないように気をつけてみます。
「そうですね。皆さん、好きな選手を撮るときに、思い入れが強すぎて力が入りすぎていないでしょうか? そういうときはミスもしやすくなると思います。もし使えるなら一脚を活用して、しっかり構えて、冷静に撮影することを心掛けてみましょう」■