スポーツで素早く動く選手にピントが合わず、ボケた写真ばかりになって悩んでいませんか?
スポーツ写真撮影の結論は、単にカメラの操作だけでなく「次のプレー展開を予測して待ち構えること」です。
本記事では、プロカメラマンの兼子愼一郎氏へのインタビューを通じて、客席からの撮影ポイントやピント精度を高める予測撮影のコツを解説します。
読むことでシャッターチャンスを逃さず、躍動感あふれる写真を撮れるようになります。
構成=大西 徹
【結論】スポーツ撮影でピントを合わせるポイント早見表
まずは、スポーツ写真撮影でピント精度を上げるための重要なポイントを一覧表でまとめました。
| 項目 | ポイント・実践方法 |
| 客席からの撮影メリット | 被写体との距離があるため、選手が動いてもピントの微調整で済みやすい。 |
| 注意すべき罠 | ピントが外れても背景の芝生などに合い、失敗に気づきにくいため注意が必要。 |
| ピント外れを防ぐ設定 | ファインダーの「視度調整」を行い、自分の視力に完璧に合わせた状態にする。 |
| プロの撮影術(予測) | 選手を後から追いかけず、ボールが来る前のプレー展開を予測して待ち構える。 |
| 連写とAFのコツ | 被写体にピントを合わせ続ける時間を長くし、トラップ前から連写を開始する。 |
客席からのスポーツ撮影とピント合わせのコツ
スポーツカメラマンの兼子愼一郎さんに、ピント合わせの基本や客席から撮影する際の特徴についてお話を伺いました。
――ピントを合わせるときはどんなことに気を付ければいいでしょうか?
「どれくらいアップで選手を撮るかにもよりますけど、僕らがゴールの斜め後方から撮るのと、皆さんが客席から撮るのとでは、選手が10m動いたときの調整が変わってきます。僕らのポジションからだと選手が10m動くとかなりピントが変わってくるけど、客席からだと微調整で済むんですよね。だから、的は小さくなるけど遠くから撮るほうがピントを合わせやすくなります」
――そうなんですね。
「だから、ブレないことを心掛けて冷静に的を射抜けばピントは合うはずです。そこで注意したいのは、僕らは下から撮ってピントが外れると、被写体がボケるのですぐに分かります。でも、客席から撮ってピントが外れても、選手の後ろにある芝に合うから気付きづらいんですよね」
――そういう違いがあるんですね。
「なかなか気付きづらいけど、『そういうふうになりやすい』ということを知っていれば、自分なりに注意する方法を見つけやすくなります。写真を勉強している学生には、『カメラはAF(オートフォーカス)でピントを合わせてくれるけど、間違ったところにピントが合っていても教えてくれない』とよく話しています」
――確かにそうですね。
「だから、撮る方が間違いに気づくためにも、もし視力が悪いのであれば、せめてファインダーに付いている視度調整はしておいたほうがいいですね。そうすれば、ちょっとしたピントのずれに気が付くかもしれないから。ふだん眼鏡をかけている方は視力にちゃんと合った眼鏡に変えるとか、そういうちょっとしたことの積み重ねが大事ですね」
――なるほど。
「あともう一つ。展開を予測しましょう。客席から撮影する場合、下にいる僕らよりも明らかに全体の流れを読みやすいですよね。選手を追い掛けて撮るのではなくて、動きを予測して待ち構えて撮るように心掛けましょう。ピントを合わせる時間が長いほうが精度も上がります」
――ピントを合わせる時間というと?
「被写体に合わせ続ける時間が長ければ長いほどピントの精度は上がります。ぱっと気づいて、あっと思って、なんとか追い掛けて、ピントを合わせて、シャッターを押せたとしても、ピントは甘くなりがちです」
――確かに。
「そうならないようにボールが来る前から選手にピントを合わせておいて、トラップする前から連写すれば、急に構えて追い掛けて撮るよりもピントが合う確率は高くなります。ということで、なるべく展開を予測して待ち構えて撮ってみましょう」■
ネット越しや障害物がある場所でのピント合わせテクニックは『一眼カメラのピントの合わせ方とネット越し撮影術』で詳しく紹介しています。

客席撮影とピッチ脇撮影の比較
| 撮影ポジション | 視野の広さ(予測のしやすさ) | ピント調整の難易度 | 注意すべき失敗リスク |
| 客席(スタンド) | 広い(全体が見渡せるため予測しやすい) | 低い(微調整で合いやすい) | ピントが抜け、背景の芝生に合ってしまう |
| ピッチ脇(グラウンド) | 狭い(目の前のプレーに集中する) | 高い(距離変化が大きく大きな調整が必要) | 選手から大きくピントが外れてボケる |
暗い体育館や室内スポーツでの撮影設定は『室内撮影でのホワイトバランスと明るいレンズの選び方』をご覧ください。

まとめ:プレー予測とピント合わせでスポーツ写真を極めよう
スポーツ撮影でピントの合った躍動感ある写真を撮るためには、ファインダーの視度調整などで手元を整えたうえで、「プレーの展開を予測して待ち構えること」が何よりのコツです。ボールが来る前から選手にピントを合わせ続け、連写を活用することで、失敗写真は劇的に減らすことができます。
「スポーツ撮影がうまくいかない」「躍動感のある写真を残したい」とお悩みの方は、ぜひ今回ご紹介した予測撮影とピント合わせのテクニックを試してみてください。カメラの設定や撮影技術、機材選びに関するご質問・ご相談は、当サイトのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
